長龍郎ら若手、魅力伝える公演 [舞台と伝統芸]

長唄三味線で歌舞伎の舞台などで活躍する今藤長龍郎(いまふじちょうたつろう)ら若手邦楽演奏家が、分かりやすくその魅力を伝える公演「はじめての邦楽」が30日、東京・三宅坂の国立劇場で開かれる。

 長龍郎は「邦楽の裾野を広げるきっかけになれば」と語る。(塩崎淳一郎)

 午後1時に始まる第1部は、義太夫節、新内節、長唄の三つの分野の語りや唄を聞き分けてもらう。女流義太夫の竹本越孝(こしこう)、新内剛士、東音(とうおん)味見純(あじみじゅん)らが出演する。

 長龍郎が出る午後4時の第2部は、邦楽器に焦点を絞った構成で、箏の遠藤千晶、囃子(はやし)の望月太三郎らが各自の楽器を奏でて邦楽の世界にいざなう。上演時間は約1時間で、案内役は歌舞伎俳優の尾上松也が務める。

 長龍郎は「三味線は3本しか弦がないのに、様々な音色を出し、曲の情景を浮かび上がらせるダイナミックさを持つ。世界の民族楽器の中でも洗練を極めた部類に入り、今なお進化中」と、魅力を語る。「つい最近まで日本人の身近にあった楽器で、DNAに染み込んでいる。その記憶を呼び起こしたい」

 持ち時間20分の中で三味線の説明を行い、戦後間もなく作曲された「流れ」を演奏し、名曲「勧進帳」の「滝流し」と呼ばれる高度な技巧を要する部分も弾く。「特に後者は、自然の滝の荒々しくも美しい光景を脳裏に浮かべてもらえるように」と気合が入る。

 かつては一般的な習い事だった邦楽。稽古する人が減り、先細りの邦楽の世界を深く憂う。「本来は三角形の形で、第一に多くの客層がいて、その上に稽古をする人がいて、頂点にプロがいるのが理想だが、今は逆三角形。これでは衰退するばかり」と長龍郎。「公演を契機に稽古をしてくれる人が出てほしい」

 かく言う長龍郎も、父母共に邦楽の世界にいたが、4歳でピアノを始め、作曲のコンクールに出品するなど、洋楽器に親しんだ。三味線の稽古を始めたのは10歳の時で、めきめき腕を上げ、今では長唄三味線の未来を担う俊英の一人。「ピアノを練習した影響で、邦楽の作曲も手がけるようになった。洋楽器と邦楽器は共存できる」と確信する。

 42歳の若さを武器に第一線で活躍中。将来の邦楽演奏者を増やすため、これからも地道に活動を続けたいと語る。(電)0570・07・9900。

(2011年7月25日 読売新聞)

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